毎月の公開予定作品の中から福岡映画部メンバーが気になる作品を1本ずつ紹介しあいながら映画駄話を繰り広げるネット番組。その名も「 BUSHITSU TV 」! 第6回目となる今回は、2月に公開予定の注目作品 をご紹介していきます。
37seconds
上:私が2月に注目する作品は、『37seconds』です!
あらすじ:ユマ23歳。職業「 ゴーストライター 」。生まれた時に、たった37秒息をしていなかったことで、身体に障害を抱えてしまった主人公・貴田ユマ。親友の漫画家のゴーストライターとして、ひっそりと社会に存在している。そんな彼女と共に暮らす過保護な母は、ユマの世話をすることが唯一の生きがい。毎日が息苦しく感じ始めたある日。独り立ちをしたいと思う一心で、自作の漫画を出版社に持ち込むが、女性編集長に「 人生経験が少ない作家に、いい作品は描けない 」と一蹴されてしまう。その瞬間、ユマの中で秘めていた何かが動き始める。これまでの自分の世界から脱するため、夢と直感だけを信じて、道を切り開いていくユマ。その先で彼女を待ち受けていたものとは……。
梅:今の聞いただけで泣きそうになってる。
上:この作品が邦画になるんですけど、映画監督のHIKARIさんという方の経歴がすごく面白いんですよ。公式サイトでは「 18歳で単身留学し、ジョージ・ルーカス、ロバート・ゼメキス、ロン・ハワードら映画監督を輩出した南カリフォルニア大学で学び、短編『Tsuyako』(11)、『A Better Tomorrow』(13)が世界で注目を集めた新鋭の監督・HIKARI 」という風に紹介されているんですね。この37secondsが長編作品初挑戦だそうで、海外で先に評価されて日本で製作をする監督さんってあんまり聞かないな、と思って。
石:南カリフォルニア大学ってすごく有名な映画の学校だよね。
上:雑誌のインタビューで言われてたんですけど、日本の高校の窮屈さとかが嫌で卒業後に単身アメリカにホームステイで留学して、映画の勉強をする大学を探すときになぜ南カリフォルニア大学にしたかっていうと、ホームステイ先の家から一番近かったからだそうなんです!
石:近いからで入れるって相当優秀だよね(笑)。
上:そして、主演も脳性まひを抱えている方が演じているんです。監督自身が、健常者じゃなく当事者に演じてほしいということで身体に障害を抱える約100名の女性の中から佳山明さんが選ばれたそうです。
梅:目の演技がすごくよかったよね。私は、福祉施設で働いてて同じ脳性まひの人とかすごく身近な存在としているからリアルに描いてくれるっていうのはありがたい。
上:主演以外のキャストも豪華なんですけど、私が気になるのが萩原みのりさんと芋生悠さん。萩原みのりさんはもたいまさこさんと共演した『ハローグッバイ』っていう作品でツンツンしてるけど本当は優しいギャルを演じてて、それがすごく可愛かったんです。芋生悠さんは、主演作『左様なら』で繊細な心を持っててうまく表現できないでいる役どころがすごく好きで。この二人が出てるのを後から知ってますます注目するようになりました。
『37seconds』は2月7日からユナイテッド・シネマキャナルシティ13、ユナイテッド・シネマなかま16で公開予定です!
ザ・ピーナッツバター・ファルコン
石:梅ちゃんが観たい作品は決まったかな?
梅:決めますね。……決まりました!『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』!
あらすじ:ツキに見放された漁師と施設から脱走したダウン症の青年、施設の看護師の3人による青年の夢をかなえるための冒険の旅を描いたヒューマンドラマ。養護施設で暮らすダウン症のザックは、子どもの頃からの夢だったプロレスラーの養成学校に入るため施設を脱走する。兄を亡くして孤独な日々を送る漁師のタイラーは、他人の獲物を盗んでいたことがバレたことから、ボートでの逃亡を図る。そんなタイラーと偶然に出会ったザック、そしてザックを捜すためにやってきた施設の看護師エレノアも加わり、3人はザックのためにある目的地へと向かう。タイラー役をシャイア・ラブーフ、エレノア役をダコタ・ジョンソン、ザック役を作品製作のきっかけとなったザック・ゴッツァーゲンが演じ、ジョン・ホークス、トーマス・ヘイデン・チャーチらが脇を固める。監督は本作が長編初監督作となるタイラー・ニルソン&マイケル・シュワルツ。
石:注目ポイントはどういうところでしょうか?
梅:これは、各映画誌が過去10年に残る映画だって言ってる作品で、アメリカでも14館から始まったのにそれが1500館近くまで広がっていったような映画でしてね。こちらもダウン症の男の子が主人公なんですけど、彼がきっかけでこの映画が生まれたんですよ!彼が撮影した映画監督に役者になりたい夢を語ったら「そんなのなれっこないよ。」って言われたんだけど「じゃあ君たちが僕を主役に映画を撮れば役者になれるよね?」って言ったらしいの。それで、ザックをきっかけにして映画がつくられたんです。ザック役をザックが演じるわけですよ!
石:ザックによるザックのための映画だよね。
梅:そう! 役者になりたいザックがプロレスラーになりたいザックを演じます。で、この脚本を書き上げた、長編作品を作ったことのない監督が、脚本を持ち込んだのが『リトル・ミス・サンシャイン』を生んだプロデューサー陣です。
石:相性がいいとしか言いようがないよね。その人達のほかの作品は何だっけ?
上:『ネブラスカ 二つの心をつなぐ旅』ですね。
梅:そう、最高のロードムービーを作るプロデューサーなんです! で、今回はそんな3人のロードムービーを撮ったというね。ちょっとこれはもうウメデミー賞2020優勝です!(笑)
石:さっきの『37seconds』もそうだけど、脳性まひだったりダウン症だったり当事者が演じてるよね。
梅:いいですよね。そういう特徴を持っているからこそ、彼ら自身しか演じれないキラキラしたものがあるのでこれは観ていてハッピーになるだろうし。楽しみにしていてください!
『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』は2月7日からイオンシネマ福岡とイオンシネマ筑紫野で、2月22日からKBCシネマで公開予定です!
1917 命をかけた伝令
石:それでは、私の2月の注目作品はアカデミー賞超大本命で行きます。悩んだんだけどね……『1917 命をかけた伝令』! コピーが ” 走れ ” ですよ。
あらすじ:〈時間〉が最大の敵。第一次世界大戦真っ只中の1917年のある朝、若きイギリス人兵士のスコフィールドとブレイクにひとつの重要な任務が命じられる。それは一触即発の最前線にいる1600人の味方に、明朝までに作戦中止の命令を届けること。進行する先には罠が張り巡らされており、さらに1600人の中にはブレイクの兄も配属されていたのだ。戦場を駆け抜け、この伝令が間に合わなければ、兄を含めた味方兵士全員が命を落とし、イギリスは戦いに敗北することになる―。刻々とタイムリミットが迫る中、2人の危険かつ困難なミッションが始まる……。
石:これ、ワンカット……に見える撮影をしているんです! 私も最初はワンカットだと思ってたんだけどね。2か月かけて撮影したみたいです。
梅:同じところからカメラを動かさずにっていうことだよね。
石:そう、命をかけた伝令をするふたりは本当に走るんだって!戦場を駆け抜けていく始めから最後どうなるかまでをカメラがずーっと横にへばりついて追いかけるんだそう。この映画の情報を見た時から、昨年ベスト10に入れた『ウトヤ島、7月22日』と『ダンケルク』を足して2で割った作品やろうなって勝手に思ってたんですよ。そしたら、実はこの作品を編集したのが『ダンケルク』のリー・スミスさんだったんですよ。これキャストもやばいしスタッフもやばいんですよ。「ゲーム・オブ・スローンズ」のトメン役を演じたディーン=チャールズ・チャップマンくん。
上:トメンが走るの!?やばい!
石:あと、同じ伝令兵役に『はじまりへの旅』のジョージ・マッケイも出るんだって。さらにベネディクト・カンバーバッチ、コリン・ファース、マーク・ストロングが脇を固める。しかも監督は安心と信頼のサム・メンデス。『アメリカン・ビューティー』の人だよね。撮影がみなさんご存知『ブレードランナー2049』のロジャー・ディーキンス。アメリカの豪華俳優、豪華スタッフ集めた戦争映画だね。
梅:なんか男くさいね(笑)。
石:男くさいよね(笑)。これゴールデングローブ賞のドラマ部門で作品賞獲ってて、アカデミー賞にもがっつりノミネートされてるんだよね。注目度の高い作品です!
『1917 命をかけた伝令』は2月14日からT・ジョイ博多やユナイテッド・シネマキャナルシティ13など県内16館で公開予定です!
今回はこぼれ話として映画部メンバーがセレクトに迷った映画3本も追加でご紹介します!
ミッドサマー
石:昨年『ヘレディタリー 継承』を撮ったアリ・アスター監督最新作。ジャンルが、なんにでも形容できそうな ” フェスティバルスリラー ” (笑)。こんな花柄で女の子らしいビジュアルなのにスリラーなんですよ。
スウィング・キッズ
梅:『SUNNY』っていう韓国映画を作った監督さんの作品です。アメリカで韓国人の捕虜がタップダンスをするっていうお話なんですけど、ミュージカルでめちゃくちゃ楽しそうだったの! 韓国映画ってバイオレンスかラブコメかっていうイメージがあったんだけど、これはどちらでもないポップな感じの音楽映画。やっぱり近年韓国映画ぐいぐい来てますね!
音楽
上:主人公の声を演じてらっしゃるのが伝説的なロックバンド・ゆらゆら帝国の坂本慎太郎さんなんですよ!お話としては不良三人組が楽器未経験ながらバンド”古武術”を結成しフェスに出たりするアニメーション映画なんです。最近のアニメーション映画ってCG使ってリアルでダイナミックなものが多いと思うんですけど、これは製作期間7年、作画枚数は40,000枚を超える手描き!
2月に福岡で公開される作品一覧
これより下のページでは、2月に福岡で公開される(ほぼ!)すべての作品を一挙ご紹介。作品名をクリックすると公式サイトに移動しますので、お近くの上映館を探してぜひ劇場でお楽しみください!
2月1日公開
永遠の門 ゴッホの見た未来 21日まで:大川シネマホールにて上映
2月4日公開
2月7日公開
パリに見出されたピアニスト 20日まで:小倉昭和館にて上映
〈 午前十時の映画祭10 – FINAL – 〉 大脱走 20日まで:ユナイテッド・シネマ なかま16にて上映
〈 午前十時の映画祭10 – FINAL – 〉七人の侍 4Kデジタルリマスター版 20日まで:福岡中洲大洋にて上映
2月8日公開
劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー / 魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO
2月14日公開
マリッジ・ストーリー イオンシネマ大野城にて上映
EXIT イグジット ユナイテッド・シネマ なかま16にて上映
2月15日公開
シークレット・スーパースター 28日まで:小倉昭和館にて上映
あなたの名前を呼べたなら 28日まで:小倉昭和館にて上映
2月18日公開
容疑者、ホアキン・フェニックス 18日のみ:KBCシネマにて上映
2月21日公開
イエスタデイ 3月6日まで@小倉昭和館
ハード・デイズ・ナイト 3月6日まで@小倉昭和館
〈 午前十時の映画祭10 – FINAL – 〉 大脱走 3月5日まで:福岡中洲大洋にて上映
〈 午前十時の映画祭10 – FINAL – 〉七人の侍 4Kデジタルリマスター版 3月5日まで:ユナイテッド・シネマ なかま16にて上映
2月22日公開
この世界の(さらにいくつもの)片隅に 3月6日まで:大川シネマホールにて上映
劇場版 ねこねこ日本史 ~ 龍馬のはちゃめちゃタイムトラベルぜよ! ~
2月25日公開
ディアスキン 鹿革の殺人鬼 25日のみ:KBCシネマにて上映
2月28日公開
EXIT イグジット ユナイテッド・シネマ トリアス久山にて上映
仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ
2月29日公開
それでは、次回の更新もお楽しみに!
最後までお付き合いありがとうございました〜!