毎月の公開予定作品の中から福岡映画部メンバーが気になる作品を1本ずつ紹介しあいながら映画駄話を繰り広げるネット番組。その名も「 BUSHITSU TV 」! 第7回目となる今回は、3月に公開予定の注目作品 をご紹介していきます。
ストーリー・オブ・マイライフ 私の若草物語
あらすじ:『 レディ・バード 』のグレタ・ガーウィグ監督とシアーシャ・ローナンが再タッグを組み、ルイザ・メイ・オルコットの名作小説「若草物語」を新たな視点で映画化。南北戦争時代に力強く生きるマーチ家の4姉妹が織りなす物語を、作家志望の次女ジョーを主人公にみずみずしいタッチで描く。しっかり者の長女メグ、活発で信念を曲げない次女ジョー、内気で繊細な三女ベス、人懐っこく頑固な末っ子エイミー。女性が表現者として成功することが難しい時代に、ジョーは作家になる夢を一途に追い続けていた。性別によって決められてしまう人生を乗り越えようと、思いを寄せる幼なじみローリーからのプロポーズにも応じず、自分が信じる道を突き進むジョーだったが……。幼なじみローリーを『君の名前で僕を呼んで』のティモシー・シャラメ、長女メグを『美女と野獣』のエマ・ワトソン、末っ子エイミーを『ミッドサマー』のフローレンス・ピュー、ジョーの人生に大きな影響を与えるマーチ叔母をメリル・ストリープがそれぞれ演じる。第92回アカデミー賞では作品賞はじめ計6部門でノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞した。
上:ごめんなさい、あらすじを読んでるところで涙が出ちゃって……。「性別によって決められてしまう人生を乗り越えようと」っていうところで。普段からジェンダー格差は関心度の高いトピックなんですけど、特に女性が女性であるという理由だけでチャンスを掴めなかったり意味もなく陥れられたりっていうことが、少しずつ改善しているとはいえ昔から存在しているんですよね。そういうのに対してひたむきに頑張る人を見てると……。
石:涙腺が崩壊するんだね。
上:テーマももちろん琴線に触れたんですけど、何よりの注目ポイントは、グレタ・ガーウィグ監督とシアーシャ・ローナン、ティモシー・シャラメのタッグがまた観られる!っていうことなんですよね。このタッグは『レディ・バード』という作品でも観られます。
石:シアーシャ・ローナンといえば、20年以上アカデミー賞をウォッチしてるメラニーさんという方の「なぜオスカーはおもしろいのか 受賞予想で100倍楽しむアカデミー賞」という本の中で、「まだオスカーをあげるには早い枠」みたいな話があって…何回もノミネートされるけど受賞しない枠。シアーシャ・ローナンも13歳くらいでデビューしてもう3回くらいノミネートされてるよね。
上:そうですね。シアーシャ・ローナンさんは現在25歳の女優さんで、13歳の時にジョー・ライト監督の『つぐない』でアカデミー助演女優賞にノミネート。そのあと、『ブルックリン』、『レディ・バード』でアカデミー主演女優賞にノミネートされて、今回の作品でも3回目のアカデミー主演女優賞にノミネートされてますね!
石:今回のグレタ・ガーウィグ監督も女優さんで、映画部で行った上映イベント『フランシス・ハ』で主演されてましたね。
梅:グレタ・ガーウィグ監督、頑張ってほしいですね!女性が小説家を目指していた時代のことを描いた作品だし。
石:そういった時代も乗り越えて、そういう人たちが戦ったり乗り越えたりしたから今があるという意味では感謝も込めて観たいところですね。
『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』は3月27日からT・ジョイ博多、ユナイテッド・シネマキャナルシティ13など県内7館で公開予定です!
ダンサー そして私たちは踊った
概要:2019年年カンヌ国際映画祭のプレミア上映を皮切りに、世界各国で高い評価を獲得。現在もなお映画祭で喝采を浴び続けている。監督は、スウェーデンの新鋭かつジョージア(グルジア)にルーツを持つレヴァン・アキン。突然現れた青年に心奪われるダンサーの主人公メラブを演じるのはコンテンポラリーダンサーとしてジョージアで活躍するレザン・ゲルバヒアニ。Instagramで監督にスカウトされ、本作がスクリーンデビューとなる。美しき痩身に野心と情熱を迸らせたダンスシーンと、現実にもがきながらも根底にある純真さ、あどけなさを見せる演技が高く評価され、サラエボ国際映画祭やオデッサ国際映画祭で主演男優賞を獲得。アメリカのファッション&セレブリティ誌「W magagin」の「カンヌ国際映画祭2019で最も刺激的なスター」の一人にアントニオ・バンデラスやウィレム・デフォーらと並んで選ばれた。
あらすじ:ジョージアの国立舞踏団で、幼少期からダンスパートナーのマリとトレーニングを積んできたメラブ。日中のハードな練習の後はレストランでアルバイトで家計を一手に引き受け、気持ちの休まる暇もない。そんなある日、カリスマ的な魅力のある青年イラクリが入団し、同時にメイン団の欠員補充のためのオーディションの開催が知らされる。イラクリの持つダンスの才能に驚き芽生えたライバル心が、オーディションに向けての2人だけの特訓を経て、抗えない欲望へと変化していく……。
梅:注目していることは、私はヨーロッパ映画がすごく好きなので、スウェーデンとグルジアにルーツをもつ監督が作った作品ということと、昨年のベストテンにもあげていたんですけどダンス映画が好きなのもあって。今回はダンス映画というところですね。そして実際に主役に選ばれた男の子は監督がInstagramでスカウトしたって!
石・上:やばいよね!
梅:セルフプロデュースの時代がこれほど来てるってことだよね。美しき男性二人が出会っちゃいまして、踊るっていうね。
石:どういうジャンルの映画になるんだろう、同性愛の映画だけじゃない気がする。
梅:監督さんとしては、階級だったりジェンダーをテーマにした作品が多いというのはあるので。まあジェンダー的な立ち位置というようなものもあるんだろうなと思うけど。ダンサーさんって使える身体の筋肉量や可動域が違うから、身体表現という意味では普通の役をやったとしてもちょっとした動作とか機微がダンサーさんにしか出せない動きがあって美しそうな気配がします。
石:普遍的な人間ドラマもありつつ、というような。
梅:もともと小さいときから王立舞踏団に通ってるような男の子たちの話なので、そういった育ち方って想像がつかない。独特のコミュニティだよね。
上:そしてそこに突然現れるひとりの男性っていうのは……。
梅:田舎の小学校にいきなり来た都会の転校生みたいな感じだよね。あと、グルジア映画っていうのも注目。
石:グルジア映画だと『花咲くころ』っていう映画が良かったよ。佐賀のシアターシエマっていう素敵な映画館で観たんだけど。10代の女の子たちがハードな日常の中で美しく楽しく可憐に過ごすっていう。その中のシーンで、女性がタバコを吸うなんて、っていう時代に女の子たちが集まってタバコを吸うんですよ。綺麗なワンピース着た綺麗な女の子が吸う姿がめちゃくちゃ綺麗で!あのシーンだけで1800円どころじゃない価値がある。
梅:グルジアって、歴史的にいろんな国に制覇されてきた地域だから、儚い美しさっていうのを国が持ってる気がして。悲しさの描き方が美しくなる、みたいなのを感じるので、他の国の作品では観られないような空気がある感じがしてすごい好きなんですよ。
『ダンサー そして私たちは踊った』は3月14日からKBCシネマにて公開予定です!
ジョン・F・ドノヴァンの死と生
概要:すべてが明らかになった時、胸が熱くなる。豪華キャストの最高峰の演技×圧倒的な映像美ドラン自身が集大成と語る、“ 人生の真実 ” を描いた愛の物語。
あらすじ:2006年、ニューヨーク。人気俳優のジョン・F・ドノヴァンが29歳の若さでこの世を去った。自殺か事故か、あるいは事件か。謎の真相の鍵を握るのは、一人の少年だった。それから10年の歳月が過ぎ、ドノヴァンと当時11歳の少年だったルパート・ターナーの “ 秘密の文通 ” が一冊の本として出版される。今では注目の新進俳優となったルパートが、100通以上の手紙の公開に踏み切ったのだ。さらにルパートは、著名なジャーナリストの取材を受け、すべてを明かすと宣言するのだが―。
石:我らがグザヴィエ・ドラン監督の最新作に、『ゲーム・オブ・スローンズ』のキット・ハリントンが出ます!あと、『ルーム』に出てた小さい男の子、ジェイコブ・トレンブレイ君も出ます。ナタリー・ポートマンも出るんですけど。私が初めて観たドランの作品は『たかが世界の終わり』で、その時に感想で「下品な物言いしかできない居心地の悪さ」って書いていて。田舎の実家に久しぶりに帰ってきた主人公が、家族のことはお互いに愛しているのに下品な物言いしかできない。家族だからこそ感じちゃうようなイライラをひしひしと感じとれすぎてしまって、ものすごく居心地の悪い映画だったんですよ。めちゃくちゃ嫌な映画。すごい褒めてるんですよ!
梅:生々しすぎてって感じだよね。フィクションに観れない感じ。
石:ドランは、そういうのを描くのがすごく上手で。先日『わたしはロランス』をようやく観ました。
梅:『ロランス』良かったでしょ?
石:うん、ようやくたどり着いた!みたいな感覚があった。『わたしはロランス』は、結婚を控えたあるカップルがいて、ある日彼氏が自分がトランスジェンダーってカミングアウトするんですよ。ここでゲイだと言ってないことがポイントなんです。パートナーとは何か、愛とは何のためにあるのか、共に生きていくことの意味・意義みたいなことが描かれているんですよ。
梅:愛のあり方っていう話だよね。
石:『ロランス〜』の魅力はコントラストだと思ってて。ビジュアルも鮮やかで綺麗なんですけど、2人の愛のコントラストがスゴイ。車の中でのシーンがいくつかあって、運転席と助手席で戯れる二人を後部座席からのショットで眺めるんですけど、狭〜い車の中に2人の愛がむぎゅ〜って詰まって、そして炸裂する感じとかがものすごく上手に描かれていて。そのハッピーさが溢れているからこそ……っていう展開なんですよね。で、『ジョン・F〜』はそういう映画を撮ってきたドランの最新作なんですよね。
梅:まだ若いじゃん、30歳で。なのに集大成なんてもう少し後になって言ってほしい!
石:昔、グザヴィエ・ドランが『タイタニック』に感銘を受けて、レオナルド・ディカプリオにラブレターを書いたそうなんです。それを基にしてつくられたのがこの『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』。これを配給してるのがファントム・フィルムさんっていう配給会社なんですけど、映画のプロモーションで「グザヴィエ・ドランに手紙を書こう」っていう企画をされてるんですよ。(2月末で終了しました。)その中で、映画ライターさんや監督さんなどの映画人からコメントとして手紙を書いてもらってInstagramで公開されてるんですけど、その中でも『少女邂逅』の枝優花監督。若干25歳とかだと思うんですよ。この方の手紙がすごくよくて。読みますね。
石:昨年『21世紀の女の子』っていう作品で映画館に来られてて。Instagramの質問ストーリーズとか見てても、現場でしっかりやってこられた人なんだろうなっていうのが伝わってきて。でも、自分の全財産はたいて映画作って一文無しになった話は初めて聞いたし、実際にそれを本人の直筆で語られてるんです。本当にいい映画を作る人は心を打つ文章が書ける人なんだなって思って。これは本当にいいプロモーションだと思う。
上:この手紙はちゃんとドラン本人に贈られるそうですね。
石:今回もいろんな映画があって迷ったんですけど、『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』を選んだのは枝さんの手紙を読んでこれしかないな、と思って紹介させていただきました。
『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』は3月13日よりT・ジョイ博多にて公開予定です!
こぼれ話として映画部メンバーがセレクトに迷った映画4本も追加でご紹介します!
子どもたちをよろしく
いじめや性的虐待を受けている子どもたちを主人公に据えた日本映画。きらびやかなものに目を向けがちな現代社会だけど見逃してはいけない子どもの貧困をテーマにした作品です。
3月21日よりKBCシネマにて公開予定です!
ジュディ 虹の彼方に
アカデミー主演女優賞を受賞!『オズの魔法使い』で子役として一躍有名になったジュディ・ガーランドのその後の人生を描いた作品。ジュディ役を演じるレネー・ゼルウィガーも代表作『ブリジット・ジョーンズの日記』のあと精神的に不安定になった時期などもあるそうで…。そんな色々を乗り越えて復活を果たし、見事オスカーに輝いた一作です。
3月6日より福岡中洲大洋、ユナイテッド・シネマキャナルシティ13など県内11館で公開予定です!
ハリエット
アカデミー賞主演女優賞、歌曲賞ノミネート!実在の黒人奴隷開放運動家、ハリエット・タブマンの人生を描いた作品です。
3月27日よりKBCシネマとユナイテッド・シネマなかま16にて公開予定です!
細い目
マレーシア映画『タレンタイム~優しい歌』のヤスミン・アフマド監督、没後10周年での企画上映です。民族や宗教の異なる少年と少女のラブストーリーです。主人公の女の子が香港映画のスター、金城武のファンであるところも注目ポイント。
3月3日のみ、KBCシネマで公開予定です!
3月に福岡で公開される作品一覧
これより下のページでは、3月に福岡で公開される(ほぼ!)すべての作品を一挙ご紹介。作品名をクリックすると公式サイトに移動しますので、お近くの上映館を探してぜひ劇場でお楽しみください!
3月3日公開
3月6日公開
〈午前十時の映画祭10 – FINAL -〉バック・トゥ・ザ・フューチャー 12日まで:福岡中洲大洋、ユナイテッド・シネマ なかま16にて上映予定
《ダイニング・シネマ・セレクション vol.5》はじまりのうた 12日まで:ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13にて上映予定
《IMAX ® レーザー オープニング上映》 マッドマックス 怒りのデス・ロード 〈IMAX 🄬 3D字幕版〉 ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13にて上映予定
《アカデミー賞2部門受賞記念!》ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13にて上映予定
地獄の黙示録 ファイナルカット ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13にて上映予定
ザ・ピーナッツバター・ファルコン イオンシネマ戸畑にて上映予定
3月7日公開
少女は夜明けに夢をみる 13日まで:KBCシネマにて上映予定
スピード・スクワッド ひき逃げ専門捜査班 7.12 日のみ:KBCシネマにて上映予定
3月8日公開
王の男 デジタルリマスター版 8.13日のみ:KBCシネマにて上映予定
3月9日公開
風水師 王の運命を決めた男 9日のみ:KBCシネマにて上映予定
3月10日公開
キューブリックに愛された男 10 日のみ:KBCシネマにて上映予定
キューブリックに魅せられた男 10 日のみ:KBCシネマにて上映予定
3月11日公開
わたしは分断を許さない 11日のみ:KBCシネマにて上映予定
3月12 日公開
スピード・スクワッド ひき逃げ専門捜査班 7.12 日のみ:KBCシネマにて上映予定
3月13日公開
王の男 デジタルリマスター版 8.13日のみ:KBCシネマにて上映予定
《ダイニング・シネマ・セレクション vol.5》イングランド・イズ・マイン モリッシー , はじまりの物語 19日まで:ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13にて上映予定
〈午前十時の映画祭10 – FINAL -〉バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2 19日まで:福岡中洲大洋、ユナイテッド・シネマ なかま16にて上映予定
新聞記者 19日まで:イオンシネマ大野城、イオンシネマ戸畑にて上映予定
ゴブリンスレイヤー – GOBLIN’S CROWN – ユナイテッド・シネマ なかま16にて上映予定
3月14日公開
ドミノ -復讐の咆哮(ほうこう)- 20日まで:KBCシネマにて上映予定
マリッジ・ストーリー 20日まで:小倉昭和館にて上映予定
3月17 日公開
3月20日公開
〈午前十時の映画祭10 – FINAL -〉バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3 26日まで:福岡中洲大洋、ユナイテッド・シネマ なかま16にて上映予定
《ダイニング・シネマ・セレクション vol.5》SING / シング 26日まで:ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13にて上映予定
3月21日公開
アニエス・ヴァルダをもっと知るための3本の映画 27日まで、日替わり上映:KBCシネマにて上映予定
3月24日公開
エッシャー 視覚の魔術師 24日のみ:KBCシネマにて上映予定
3月27日公開
《ダイニング・シネマ・セレクション vol.5》サタデーナイト・チャーチ – 夢を歌う場所 – 4月2日まで:ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13にて上映予定
MANRIKI セントラルシネマ大牟田 にて上映予定
青の生徒会参る! season1 花咲く男子たちのかげに 小倉コロナシネマワールドにて上映予定
ゴブリンスレイヤー – GOBLIN’S CROWN – ユナイテッド・シネマ トリアス久山
劇場版Fate / stay night Heaven’s Feel Ⅲ . spring song
PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR