毎月の公開予定作品の中から福岡映画部メンバーが気になる作品を1本ずつ紹介 しあいながら映画駄話を繰り広げるネット番組。その名も「 BUSHITSU TV 」! 第2回目となる今回は、11月に公開予定の注目作品と、福岡で開催される映画イベント情報、そしてメンバーそれぞれの「 気になる映画の選び方 」についてもご紹介していきます。
石:はい、では今回は、11月に公開される注目作品と、それぞれの映画の注目の仕方、映画の選び方について紹介していければと思うんですけど。じゃあまずは上野ちゃんからお願いします!
上:はい、わたしが11月注目している作品は『グレタ』です!
グレタ
石:じゃあまず、こういった作品を選ぶ時に見てるポイントとかあれば教えてください。
上:私が映画を観るときに見るポイントが二つあって、ひとつが “ 自分の知らない世界に触れられるか ” っていうところです。その知らない世界っていうのは、知識だとか歴史だとかっていう学びの面も然り、あとは物語とか登場人物の行動から受けとる感情とか。そういったものに触れられそうな映画であることと、あともうひとつが “ 人間臭さを感じられる作品 ” 。
石:好きそう~!
上:大好きです(笑)。
石:『メランコリック』とか超そうじゃん。
上:それで選びましたね。すごくきれいに収まったお話っていうよりも、たとえば人間のどす黒い欲望であったり、葛藤とか、ちょっとドロドロしたものとかすごく好きですし、むしろなんだろう、ボロボロになるというかそういったものも好きですし。より生身の人間が描かれているんだなっていうのを感じられる作品だとすごくいい映画、好きな映画だなって思います。
石:ちょっとこれはそんなにおいがするぞって思うわけですね。
上:そうですねー。
石:なるほど。上野ちゃんの、私の勝手なイメージですけど、映画祭とかさ、結構チェックしてるよね。大きい世界三大映画祭(※カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ベネチア国際映画祭)だけじゃなくて結構インディペンデントの作品を流すような映画祭も好きだよね。
上:好きですね。インディペンデント系の作品だと割と社会問題だったりとか、あんまり大きな声では言えないタブーなこととか、そういった人のマイナスな感情とかにもちゃんとフォーカスを当てて丁寧に描いてたりするので、そういうのを観るとグッときちゃいますね。
石:なんかあるんですか? 今年公開された中でもいいし、これまで観た作品の中で、そういう “ 自分の知らない世界に触れられるか ” っていうことと “ 人間臭さを感じられる作品か ” っていう、この欲求を満たしてくれたなあって思う作品って何かあったりしますか?
上:えっ! ありすぎる!
石:ありすぎる!? じゃあ、最近に絞ろう。
上:最近だと……。最近だと、ちょっとこれは私の今年の暫定1位の映画になっちゃうんですけど。
石:お! もういいんですか!? 聞いちゃって!
上:あ! 言っていいですか!? 『幸福なラザロ』っていうイタリア映画が、大好きで大好きで!
石:えー! そうなの!
上:もうこれ観た瞬間に「これ1位、これだわ!」って思いました。
梅:『(幸福な)ラザロ』、パッと見のビジュアルはハッピーな感じだけど。
上:そう、パッと見ハッピーな感じなんですけど、人間の貧困と富の格差と、そこに蔓延する、なんだろう…それでも生きていかなくちゃいけない泥臭さ、みたいな感じのと、それ対極の位置にいる、主人公のラザロっていう、そのコントラストがすごく面白くて。これを語ると、ごめんなさい1時間以上かかっちゃうのでここまでで(笑)。
石:楽しみにしておきましょう、年末にまたやりましょう(笑)。でも、知らない世界っていうのは『(幸福な)ラザロ』描かれてそうだけど、人間臭さの部分もあるんだね。見逃したの悔しいな。
上:すごく……。言葉には言い表せないけど、っていうのがあります。
石:12月には(笑)。
上:はい、12月には言葉に出します(笑)!
石: じゃあ、この2点が作品を選ぶポイント、ということですね?
上:はい!
石:じゃあ、それを踏まえて。それを踏まえてですよ、皆さん! 選ばれた、注目されている作品が、こちら。
石:では、『グレタ』。まずは作品紹介からお願いします。
上:初共演となるイザベル・ユペールとクロエ・グレース・モレッツがダブル主演を果たし、『クライング・ゲーム』のニール・ジョーダン監督が描いたスリラー。グレタ役をイザベル・ユペール、フランシス役をクロエ・グレース・モレッツが演じるほか、エリカ役で『イット・フォローズ』のマイカ・モンローが出演します。
石:はいじゃあ、あらすじお願いします。
梅:ニューヨークの高級レストランでウェイトレスとして働くフランシスは、帰宅中の地下鉄で誰かが置き忘れたバッグを見つける。持ち主は、都会の片隅でひっそりと暮らす未亡人グレタ。彼女の家までバッグを届けたフランシスは、彼女に亡き母への愛情を重ね、年の離れた友人としての親密に付き合うようになる。しかしその絆は、やがてストーカーのようなつきまといへと発展し、フランシスは親友のエリカとともに恐ろしい出来事に巻き込まれていく!というお話です。
上:『グレタ』です! はい、もともとの推しポイントとして、主演のイザベル・ユペール、この上の黒い服の女性ですね、が大好きなんですよ!もう私の一番大好きな女優さんイザベル・ユペール。今年66歳になるフランスの女優さんなんですけど、もう66歳とは思えない美しさ、妖艶さ、パワフルさ! もう本当にこれが大好きで。一番最近、近年だと、アカデミー主演女優賞にノミネートされた『ELLE』っていうフランス映画があるんですけど。
上:それで、自分を襲った犯人を見つけるために罠を仕掛ける女社長っていう色気と危険に溢れた役を怪演したんですけど、それが衝撃的で。で、そういうちょっと危ない役、顔立ちもちょっとキリッとされてるから、すごくそういった尖った感じの役が多そうなイメージがあるんですけど、結構他の作品では、割と老いた両親をみとらなくちゃいけない役だったり落ちぶれた女優っていう、ちょっと儚いちょっとくらい影とかを秘めた持った役も多くて。今回のこのグレタっていう女性は未亡人っていうところで、儚い影とその寂しさ、それに対してクロエ・グレース・モレッツに執着する狂気っていうのがあって。その執着心とか描かれるとすごく好きなんですよね(笑)。
梅:人間臭いから!(笑)
上:そう、人間臭いから。
石:なるほど、なるほど。
上:そうなんです、だからその二つをあわせもった役で楽しみでしかなくて。もう本当に今年楽しみにしていた映画5本指に入る、心待ちにしてしてた映画です。
梅:よかったね、福岡でやってくれて。
上:そう、福岡でやってくれて本当によかったです!
石:なるほど、気になりますねー。
梅:私はクロエちゃんが大人になったな、っていう風な見方だったから。
石:本当ね、そうだよね。少女だったのにね。最近はSK – ⅡのCMとかで見てる方も多いんじゃないですかね。クロエ・グレース・モレッツちゃんは『キック・アス』に出てた女の子ですよね。もうね、いい大人ですよね。
梅:そう、キャリアはすごいしね。
石:ね、そうだよね。イザベル・ユペールとクロエ・グレース・モレッツのダブル主演になるの?
上:一応ダブル主演になるみたいですね。初共演ということで。
石:イザベル・ユペール、楽しみですね!私は『ELLE』のインパクトが残ってるから。強烈激烈でしたからね。
石:はい、ということで『グレタ』は公開は?
上:公開が、『グレタ』は11月8日からKBCシネマで公開です!
石:楽しみ!本当に楽しみ!私も自分が紹介するのと『グレタ』で被ってて。ふたりで被って、上野ちゃん『グレタ』なら私はあっちにするって(いうことになった。)
梅:結構似てる?
石:結構似てるよね、傾向がね。
梅:それも含めて気になりますね。
石:じゃあ、お次は梅ちゃん!
梅:はい!
石:梅ちゃんの注目作品と、あとはそれの選び方についてご紹介してください!
梅:私が注目する作品は『ひとよ』です!
ひとよ
石:じゃあまず作品の紹介は後ほどさせていただくということで、梅ちゃんの映画を観るときの選び方を。
梅:選び方でしょ。私は基本的にヨーロッパの作品と邦画を観ることが多いので、あんまり(他のふたりと好きな映画が)被らないんだよね。まず、ヨーロッパの作品に関しては、ヨーロッパとかアメリカでもハリウッドではないやつの作品としては、まず日本で上映されるだけである程度悪い作品は、ふるいにかけられて来ている状態なので悪い作品はないだろうっていうところはベースとしてはあるんですけど。まずは “ ビジュアル ” ですね、ポスターイメージが最重要ポイントでグッとくるか、ヨーロッパならではのカラフルさだったりとかポップさ(がポスターに表現されているか)。で、あとは “ 子どもとか学生、モラトリアム世代が出てるお話とおじいちゃんおばあちゃんが出てるお話 ” がめっちゃ弱いです。
石:( うめちゃん )好きよね!
梅:うん、好きなので、音楽がよかったらなおさらいいので、その子どもやモラトリアムが主人公っぽかったりとかおじいちゃんおばあちゃんが主人公っぽかったら、観ます。で、ほぼ外れはない。
石:うん。
梅:あとね、( さっきの話は )ヨーロッパ映画に限った話で。日本映画になるとまったくではないけど、また観方が変わってきて。まず、日本映画の場合は、 “ 俳優さん ” にすごい重きを置いている、私は。結構、この俳優さんが出てる作品なら間違いないって思う俳優さんが何人かいて、俳優さん自体も作品を選んで出てるから、この人が出てる作品ならば、っていう。私の好みだろうっていうところはあるから、昨日はあれを観たんですよ。『宮本から君へ』。
石、上:おお~!
石:あれめちゃめちゃ観たい!
梅:私はもうね、福岡が誇るふたりが主演なわけですよ! 蒼井優ちゃんと池松壮亮くんってね。そのふたりは、ちっちゃい時から応援してきたふたりなので。
石:同世代だしね!
梅:本当に、大学の先輩が蒼井優ちゃんと中学の同級生とか、大学の後輩は池松くんと高校の同級生とか。なので、身近な感じのする人たちが今日本の映画界を背負って立つ俳優さんになってくれてるのですごい嬉しいんですけど、福岡人のふたりがね。だから、まずふたりが出てる時点で間違いないじゃない。私は連続ドラマも観てたんですけど、だからこの流れで観なければと思って、観て、案の定間違いなかったんですけど、ふたりが出てる作品なら。それみたいに、蒼井優ちゃんが出てたり池松壮亮くんが出てたりみたいな、役者さんはすごい重要視するし、もう1個私が日本映画に求めてるものって、結構 “ 自分が落ち込んでるときに寄り添ってくれる映画か ” どうか。
石、上:はあ~!
梅:っていうところが結構あって。なんだろう、ポップさな感じは結構ヨーロッパ映画に求めることが多いので、ポップじゃなくて自分がネガティブになってるときとか落ち込んでる時とか、やさぐれてる時とかにガツンと、ドンとくるような映画のほうが逆に温度感があって観やすいんだよね。そういった状態になるのが洋画よりも日本映画のほうが私は多分その時に共感しやすい。シンパシーとして波長が合いやすいから。その『 宮本から君へ 』もドンと系だし感情むき出し系だし。そういう感情むき出し系のちょっと重たい映画が日本映画の場合は好きかも知れないな。
石:じゃあ結構元気があってポジティブにポップに行きたいときはヨーロッパ映画を観ることが多くて、ちょっとバイオリズム的に落ちてたりとか自分に厳しめに喝を入れたいときは日本映画だったりだとか、そういうコンディションによって選び方があるんだろうね。
梅:今回の、この『ひとよ』は、そっち寄りの、落ちてる寄りで選ばせていただきました。
石:はい、じゃあそんな梅ちゃんが選んだ『ひとよ』はどんな映画ですか? まず解説からお願いします。
上(or梅):女優で劇作家、演出家の桑原裕子が主宰する「劇団KAKUTA」が2011年に初演した舞台を佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、田中裕子の出演、『孤浪の血』の白石和彌監督のメガホンで映画化。次男役を佐藤健、長男役を鈴木亮平、長女役を松岡茉優、母親役を田中裕子がそれぞれ演じるほか、佐々木蔵之介、音尾琢真、筒井真理子らが脇を固める。
石:どんな一家や! (笑)では、一旦あらすじに行きましょう。
梅:タクシー会社を営む稲村家の母こはるが、愛した夫を殺害した。最愛の3人の子どもたちの幸せのためと信じての犯行だった。こはるは子どもたちに15年後の再会を誓い、家を去った。運命を大きく狂わされた次男・雄二、長男・大樹、長女・園子、残された3人の兄妹は、事件のあったあの晩から、心に抱えた傷を隠しながら人生を歩んでいた。そして15年の月日が流れ、3人のもとに母こはるが帰ってきた……。っていうあらすじです。
石:ありがとうございます。じゃあ、そんな『ひとよ』の注目ポイントを教えてください!
梅:そうですね、まず白石和彌監督っていうのが日本の最近の映画界ではね、私が好きな重たい作品を撮るならっていう感じで(笑)。『 彼女がその名を知らない鳥たち 』っていう作品でも名前が知られてると思うんですけど。
石:あ~、そうか!
梅:そうですよ。蒼井優ちゃんです(笑)。
石:白石和彌さん……。そうか、その作品も。
梅:今、日本の俳優さんたちが「 出たい! 」っていう、白石組に入りたい! っていうような監督さんなんですけど、これの私の一番のキーは田中裕子さんをキャスティングできたことだと思っていて! 田中裕子さんがお母さん! こうさ、子どもたちのために夫を殺したお母さんを演じさせるとしたら田中裕子さん……。もう間違いないじゃん!
石:間違いない! 今ピンと来ない方は、予告編観てほしいです。
梅:なんかね、表情ひとつでもうすべてを、いろんな感情を表現することができる女優さんなので、もうそれがそうだし、佐藤健さんも実力派で鈴木亮平くんと松岡茉優ちゃんっていう、この一家がとりあえず観たい! そして重たいだろう、話としてはね。けど、重たいからこそ、そういう自分のテンション下がったときに寄り添ってくれる作品になるんじゃないかと思って。トータルで11月邦画としては外せない邦画かなと思って今回紹介させていただきました。
石:このまたビジュアルも。いや、これ本当に映像というか予告一発で伝わるよね。あと、松岡茉優さんによくあの服着せたなと思う。スタイリングがすごいって思った。『万引き家族』の時も、( 松岡茉優は )モコモコの部屋着着てたけど。あれはちょっと可愛らしさがあったけど、本当になんだろう…苦労してるんだろうなっていうのが伝わる感じがね。
梅:なんかね、みんなこう、明るい役もできるじゃない? それぞれの、鈴木亮平くんも佐藤健くんも松岡茉優ちゃんも。けど、なんかきっと俳優をやるとしたらこういう役やりたいんだろうなあっていうような役をやっているので、なんか……ね、見逃せないです。
石:これはぜひ私も観たいと思います。
梅:そう、「 ひとよ 」ってね、「 一夜( いちや ) 」っていう意味もあるし、「人よ」っていう意味もある。いろんな意味を感じるので是非チェックしてみてください!
石:この映画は、いつ公開ですか?
上:はい、『 ひとよ 』は11月8日から。
梅:これも8日です!
上:これも8日ですね! T・ジョイ博多やユナイテッド・シネマキャナルシティ13など県内14館の映画館で公開予定です。
石:結構大規模ですね! さすが白石組ですね。はい、楽しみですね! ありがとうございます。
石:では次は、わたくし石渡の注目作品と、私なりの映画の選び方についてご紹介させていただこうと思います!。ではまず、作品はこちら 『ボーダー 二つの世界』です。
ボーダー 二つの世界
石:なんだろうな、( 私は )いろんな映画観るんですよ。本当にジャンルレスで。怖いものも可愛いものも綺麗なものも人間臭いものもいろいろ好きなんですけど、その中で今回三つ挙げてみました。一つが、 “ 普遍的なテーマがそこにあるか ” っていうことと、もうひとつは “ 作家性 ” 。作家性っていろいろあると思ってて、まあ後でご紹介するんですけど。で、もうひとつは “ その人、人っていうのは監督だったりキャストだったり原作者だったり、その人たちがその作品を作る理由だったり必然性が感じられそうか ” っていうことが私の好きな映画のアンテナの立て方かなーって思ったんですよ。
梅:三つね。
石:そう、三つ。 “ 普遍性 ” 、 “ 作家性 ” 、 “ 必然性 ” 。“ 普遍性 ” っていうのは、誰しもが共感できたりそれに対する疑問だったり自分なりの問いみたいなものを感じられるか、みたいなこと。人間の幸せとは?とか、不幸とは?とか、正義とは?とか。そういった意味での普遍性。それがベースにあることで作品が自分事として対峙できるかどうかっていうのが変わってくると思うんですよ。で、もうひとつは “ 作家性 ” みたいなこと。私、自分が好きな作品は、縦に掘ったりするんです。好きだなって思った理由にもよるけど、映像が好きな感じだったら撮影監督を拾っていったり、音楽好きだったら作曲家やテーマソングや音楽を監修した人、あとはキャストを深堀りしたりとか。そういう風に( 映画を )観ていくと、その人それぞれの( 表現の )色だったりだとか、役者さんだったらこういう作品を選ぶ傾向にあるだとか、そういう毛色みたいなのが出てくるんじゃないかなと思っているんですね。なので、そういう意味で表現の癖がある、感じられる作家さんが好き。
梅:うん。
石:( あとは )その作品を作る理由、 “ 必然性 ” が感じられる映画が好き。たとえば私めちゃくちゃ『ロッキー』が好きなんですけど(笑)。『ロッキー』ってこの三つ全部入ってるんですよね!
梅:『ロッキー』作る理由半端ないやろ(笑)。
もう今となっては皆さん当然『 ロッキー 』は彼しかいないと思うでしょうけど、でも当時はやっぱりゼロイチをやるときって、その作る理由、必然性みたいなものが全員を動かして作品が出来上がって、そりゃあもちろん後のいろんな作品を観れば分かるんですけど作家性はめちゃめちゃあるし、もちろん『 ロッキー 』の中に込められた「 人生やる・やらないの選択でやるを選んだ人の物語です 」っていう(映画解説者、荻昌弘さんの)名解説があるように、とっても普遍的な物語が描かれていると。まあそういった意味で作る人の思いみたいな部分があって、さらに作家性も感じられる普遍的な物語がある作品のにおいがするものを「 観たいな 」と思ってチョイスすることが多いです。
梅:はい。
石:ということで、今回選んだ作品がこちら。『 ボーダー 二つの世界 』です。じゃあ解説を、お願いします。
上:『ぼくのエリ 200歳の少女』の原作者ヨン・アイビデ・リンドクビストが自身の原作をもとに共同脚本を手がけ、第71回カンヌ国際映画祭ある視点部門でグランプリを受賞した北欧ミステリーです。
石:で、あらすじは梅ちゃん!
梅:スウェーデンの税関に勤めるティーナは、違法な物を持ち込む人間を嗅ぎ分ける能力を持っていたが、生まれつきの醜い容姿に悩まされ、孤独な人生を送っていた。ある日、彼女は勤務中に怪しい旅行者ヴォーレと出会うが、特に証拠が出ず入国審査をパスする。ヴォーレを見て本能的に何かを感じたティーナは、後日、彼を自宅に招き、離れを宿泊先として提供する。次第にヴォーレに惹かれていくティーナ。しかし、彼にはティーナの出生にも関わる大きな秘密があった……。
石:はい、ありがとうございます。これね、どんな作品なんでしょうね! もう自分で引っ張ってきといてなんなんですけど(笑)。いやこれね、あれなんですよね。ちょっと公式ページとか予告是非観てもらいたいんですけど。まあまず、大きなものからお伝えするとカンヌ国際映画祭のある視点部門のグランプリをとっている。というのと、結構世界観独特なんですよ、ビジュアル的にも。あとは、アカデミー賞のメイクアップ & ヘアスタイリング賞にノミネートされてたり、スウェーデンのアカデミー賞でも6部門受賞してたりと結構パワーワードは強めに並んでる作品だなっていう印象はあるんですけど。
梅:うん。
石:私、この公式サイト観てた時に一番「 あっ 」って思ったのがギレルモ・デル・トロ監督( のコメント )。
上:『 シェイプ・オブ・ウォーター 』ですね。
石:そう。『 シェイプ・オブ・ウォーター 』の監督さんが寄せてるコメントがありまして。読みますね、コメント。「 強い詩。社会に見捨てられた者が人生において愛と怒りの間で選択を迫られる、大人のためのおとぎ話。ーギレルモ・デル・トロ 」って書いてあるんですよ。社会に見捨てられた者が人生において「 愛と怒りの間で選択を迫られる 」。で、さっき読んでもらったあらすじの通り、まあ醜い容姿の主人公が特殊能力を持っていて、ある時ある男と出会って関わっていくうちに自身の出生の秘密を知る、みたいなお話で。
上:はい。
石:予告の中で、これは観てないので予想の話になっちゃうんですけど…この主人公の女の人と男の人がちょっと恋に落ちる、じゃないですけどまあ親密な感じになっている描写が観て取れるんですよ。そこに人生において「 愛と怒りの間で選択を迫られる大人のためのおとぎ話 」って言われると、なんかそんなにストレートな恋愛の話ではどうやらなさそうだぞって。
梅:大人のためのおとぎ話っていいね。
石:そうなの! でね、このギレルモ・デル・トロさんは、『 シェイプ・オブ・ウォーター 』でもずっと大人のおとぎ話( を描いていて )。しかも社会に受け入れられなかった、ちょっとマイノリティー……っていうと違うのかもしれないですけど、あんまり広く受け入れられなかった存在っていうのをずっと描き続けている監督さんなんですよね。まあそのギレルモ監督がこういうコメントを寄せるっていうのは、なんていうか結構……なんて言ったらいいのかな、まあ結構深み、というか強さ…。物語としての強さだったりとかが、かなりのパワーで描かれているんじゃないのかなって。っていうのがこのギルレモ監督のコメントから感じたところです。
上:はい。
石:“ 普遍性 ” っていうのはやっぱり「 人生で愛と怒りのどっちを選ぶか 」ってことにも感じられるし、“ 作家性 ”はさっき言ったギレルモ監督もそういう絶賛の仕方をするような( 作品なのかなって )。結構期待できるんじゃないのかなって感じています。
梅:うん。
石:で、かつ監督さんがね、監督さんがアリ・アッバシさんっていうイラン出身の監督さんで、多分今40代後半、結構お若い方なんですけど。「工科大学での研究を辞めて建築を研究するために最終的にスウェーデンのストックホルムに移り住んだ。2007年建築学の学士号を取得、その後デンマーク国立映画学校に入学して演出を学ぶ。」っていう( 経歴なんです )。その後、初の監督・脚本長編作品が2016年のベルリン国際映画祭のパノラマセクションでプレミア上映を果たしたっていう監督さんなんですよ。(建築と映画の)どちらを好きな人もどちらをも好きな人が多いし、なんかそういう意味で建築も学んで映画も学んでっていう、この監督が持つキャリアの面白さみたいなところからもすごい興味が湧いてるし。
石:かつ、もうひとつ言うとまあ今回メイクアップがね、すごく……。
梅:そう、これ描くのが一番難しかったんですよ。この顔が。で、ちょっとこれよりも本当はすごい顔をしてるんですけど。特殊メイクしてるからね。
石:そう、すごく印象的なお顔に仕上がってますよね。
梅:表情がよく分からない顔になってる。
石:結構、厚い、顔(の皮膚)が厚い感じに、分厚い感じに見えて。なんかちょっと動物っぽいというか獣っぽい感じになってるんですけど。なんとそのメイクアップをやった方たちが「ハリー・ポッター」シリーズとか「ゲーム・オブ・スローンズ」『X – MEN :ダーク・フェニックス』『ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー』でメイクアップ、スタイリングをされてきた方。あとは観た人は地味に凄いの分かると思うんですが、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』。はい、このあたりでメイクアップをされてきた方でヨーラン・ルンドストルムさんっていう方とパメラ・ゴールダマーさんっていう方たちがやってらっしゃるんですよ。
石:で、視覚効果やってるペーター・ヨルトさんっていう人も(経歴が)すごく面白くて。やってきた、手がけてきた作品が『ドッグヴィル』、『マンダレイ』、『アンチクライスト』、『メランコリア』、『ニンフォマニアック』、『ネオン・デーモン』、『ホリデイ』、『ハウス・ジャック・ビルト』。これね、(『ネオン・デーモン』と『ホリデイ』以外は)ラース・フォン・トリアー監督の作品ですね。これはなかなかダークな……。
梅:いろんな人が、凄い人が関わってる。
石:そうそう。私は結構こういう拾い方をします。作品については予測で喋ってるので、どんな作品になるか分からないんですけど、縦に横にと、あと感覚的にと。それぞれ、いろんな映画の選び方、楽しみ方がありますので。もしご覧になってる皆さんが、なんか自分はこういう作品選んじゃうなとか、こういう作品観るのが多いとか。
梅:知りたいね!
石:うん、本当に知りたい!みんなどうやって映画選んでるんだろうって。なので、是非(サイトやインスタグラムへの)コメントでもいいですし、fukuokaeigabu@gmail.comにも受け付けてますので。是非是非、本当に教えてください!楽しみにしております!
梅:はい
石:それでは、11月の注目作品をお届けしました!
11月の映画イベントのお知らせ
11月に福岡で行われるイベントから、「 来て欲しいイベント 」と「 気になるイベント 」の二つをご紹介します!
暮らしの大学 class:2 まちと家族
今年5月に、福岡市東区箱崎でスタートした「 暮らしの大学 」第2弾の開催が決定いたしました!コラムでは、暮らしの大学についての詳細やイベントに込めた思いなどを綴っているので、ぜひご覧ください!
↓こちらからご覧ください。
– 暮らしの大学とは?
↓前回開催の様子はこちらから。
– 開催レポート「 暮らしの大学 」
↓今回の「 クラス 」の情報はこちらから。
– 映画「 フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 」を観て、これからの「 まち 」と「 家族 」のあり方について考える
直方映画祭
直方から外へ発信、外から直方への来訪を促進するため、『地方から世界へ』をコンセプトテーマとして、インディペンデントから世界的になった作品、地元から世界的になった方の関連作品、これから世界を目指す作品等の上映を行う直方映画祭。今年も直方市内の5会場、2日間で24作品が上映されます。今まで福岡で上映されなかった作品も上映されるので是非行かれてみてください!
直方映画祭のイベントページはこちら!
11月に福岡で公開される作品一覧
これより下のページでは、11月に福岡で公開される(ほぼ!)すべての作品を一挙ご紹介。作品名をクリックすると公式サイトに移動しますので、お近くの上映館を探してぜひ劇場でお楽しみください!
11月1日公開
IT / イット THE END “それ”が見えたら、終わり。
超・少年探偵団 NEO – Beginning – T・ジョイ博多にて上映
〈午前十時の映画祭〉レオン 《完全版》 14日まで:福岡中洲大洋にて上映
〈午前十時の映画祭〉テルマ&ルイーズ 14日まで:ユナイテッド・シネマなかま16にて上映
〈ダイニング・シネマ・セレクション vol.4〉アマンダと僕 7日まで:ユナイテッド・シネマキャナルシティ13 にて上映
11月2日公開
11月4日公開
11月5日公開
ギターはもう聞こえない 5日のみ:KBCシネマにて上映
11月8日公開
アースクエイクバード 14日まで:KBCシネマ にて上映
その瞬間、僕は泣きたくなった – CINEMA FIGHTERS project –
蒼穹のファフナー THE BEYOND 第四話「力なき者」 / 第五話「教え子」 / 第六話「その傍らに」
電気海月のインシデント ユナイテッド・シネマ福岡ももちにて上映
〈ダイニング・シネマ・セレクション vol.4〉彼が愛したケーキ職人 14日まで:ユナイテッド・シネマキャナルシティ13にて上映
11月9日公開
アンナ デジタルリマスター版 9日、13日のみ: KBCシネマにて上映
ヒンディー・ミディアム 22日まで: 大川シネマホールにて上映
11月10日公開
11月12日公開
モデル 雅子を追う旅 12日のみ:KBCシネマにて上映
11月15日公開
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 – 永遠と自動手記人形 –
イエスタデイ ユナイテッド・シネマなかま16、ユナイテッド・シネマトリアス久山にて上映
〈ダイニング・シネマ・セレクション vol.4〉アガサ・クリスティー ねじれた家 21日まで:ユナイテッド・シネマキャナルシティ13にて上映
〈午前十時の映画祭〉レオン 《完全版》 28日まで:ユナイテッド・シネマなかま16にて上映
〈午前十時の映画祭〉テルマ&ルイーズ 28日まで:福岡中洲大洋にて
11月16日公開
やじきた道中 てれすこ 22日まで: 小倉昭和館にて上映
天才作家の妻 40年目の真実 29日まで: 小倉昭和館にて上映
彼が愛したケーキ職人 29日まで: 小倉昭和館にて上映
11月19日公開
11月22日公開
11月23日公開
11月26日公開
WEEKEND ウィークエンド 26日のみ:KBCシネマにて上映
11月29日公開
超・少年探偵団 NEO – Beginning – イオンシネマ福岡、イオンシネマ戸畑にて上映
劇場版 ガンダム GのレコンギスタⅠ 行け!コア・ファイター 12/12まで:イオンシネマ福岡にて上映
〈午前十時の映画祭〉ウエスト・サイド物語 12/12まで:ユナイテッド・シネマなかま16にて上映
〈午前十時の映画祭〉サウンド・オブ・ミュージック 12/12まで:福岡中洲大洋にて上映
11月30日公開
それでは、次回の更新もお楽しみに!
最後までお付き合いありがとうございました〜!