今年5月に、福岡市東区箱崎でスタートした「 暮らしの大学 」。
第2弾の開催が決定いたしました!
暮らしの大学とは? 箱崎の地で長年まちづくりを行ってきた設計事務所、 ハコと場をつくる 株式会社SAITO さまと 共に立ち上げた学びの取り組みです。 詳しいご紹介はちょっぴりボリューミーなので、 特設ページを作りました。 ↓こちらからご覧ください。 - 暮らしの大学とは? ↓前回開催の様子はこちらから。 - 開催レポート「 暮らしの大学 」
まちづくりにおける映画の可能性
「 移転した大学跡地で映画をコンテンツの一つとして、まちの文化を引き継ぐイベントを行いたい 」
というところからはじまったこの取り組みですが、5月の初回開催を経てブラッシュアップを重ねる中で、あらめて、これから作られていく「 まち 」について、運営事務室やパートナー企業さん、そして先生と共に考えてみました。
大学が移転し、大きく空いたスペースが新たな「 まち 」となる。そんなことって、( 少なくとも本コラムを書いている )私たちには初めての経験で、どんなことが起こるのか、ちょっとドキドキして、ちょっとワクワクもしています。
私たち福岡映画部は「 まちづくり 」のプロではありませんから、なにについて考えたらいいのか?すらも正直あんまり分かりません。
だけど、私たちが暮らす福岡のまちで、100年続いた学びの土地が、そして文化が、新しい「 まち 」として一から生まれ変わろうとしている。
そんな大きな転換点で、私たちが、これまた映画の大きな力を借りて繋いでいけることはなんだろうか?そんなことを考えました。
映画がくれる「 想像力 」、
そして「 共通言語 」としての映画
映画が与えてくれる「 想像力 」については、前回記事でも熱めに語らせていただきましたが、
もう一つ、映画は「 共通言語 」としても大きな役割を担うと考えています。
こうしてコラムを書きながらも、常々、言葉って難しいなと感じています。同じ言葉を話していても、人それぞれ言葉に持たせた意味や定義が違うからです。
まちをつくる、ということはきっと、とてもたくさんの人が関わることだろうと思います。十人十色の意見があることも想像できます。共感、理解できることもあれば、そうでないことも当然出てくると思います。
そんな時、交わす言葉の背景を共有し、共通言語を持って話ができたら。いつもより少しだけ、他者への想像力を働かせながら意見を言えたら。そして、聞けたら。
「 みんなにとって良いもの 」を探し求めることは難しく、時に危険なことすらあるのだろうと思います。ですが、ものごとが決断されるまでのプロセスに、想像力とできる限り適切な理解があることは、「 まち 」がつくられていく上でとても大切なことではないかと思います。
そして、約120分もの間、一つの物語と、時には、時間と空間をも共にする映画という体験は、わたしたちが言葉を交わすとき共通言語として大きな役割を担えるという風にも感じています。
もちろん、映画で全てが解決できる、なんてことは思っていません。ですが、会場の集ったみんなでひとつの映画を観ることで、他者への「 想像力 」を働かせてみる。講義を通してテーマについて学ぶ。そして、共通言語をもって「 まち 」について考えてみる。
そうして、わたしたちが暮らす福岡のまちを「 つかう者 」と「 つくる者 」両方の視点で捉え、これから箱崎の地でつくられる「 まち 」がどんな「 まち 」になると良いのか考えることは、私たちの暮らしと文化を守り伝えていくことの一助となるのではないか。そんなことを考えながら企画を進めていくことが、まちにとっても、映画文化にとっても、大切なことのような気がしています。
映画 と 講義 で構成される「 クラス 」
ちょっぴりお話は変わりますが、皆さんは映画を観た後、描かれたテーマについて悶々と考えてしまったり、主人公や世界観に没入してしまうことってありませんか?
そんな体験を与えてくれる映画は、好き・嫌いに関わらず、心に残る素敵な映画だなあ、と思います。ですがやはり、忙しい日々の中ではその感情や衝撃の大部分は流れていってしまうものです。
それでは、せっかく広がった興味関心やものごとへの問いが流れていってしまう。それを流してしまうことなくグイっと掘り下げたい。その為には、興味関心やものごとへの問いを縦に深める学びの場があるといいのではないか。そんなことを考えながら、企画を進めていきました。
そして、暮らしの大学では、毎回の開催を「 クラス 」と呼ぶことになりました。映画 と 講義 で構成される「 クラス 」では、毎回のテーマに寄り添った「 学びにいい映画 」の上映と、「 愛と情熱をもったプロフェッショナルな先生による講義 」をお届けしていきます。
今回のクラスで講義を行っていただく先生は…
こうして準備を進めてきた第二回暮らしの大学、今回の講義を担当していただくのはこちらの方!まちづくりやデザインの目線から教育・福祉などのプロジェクトに携わる田北 雅裕 先生です!
講師|田北 雅裕 氏 1975年熊本市生まれ。 九州大学大学院人間環境学研究院専任講師。 認定NPO法人SOS子どもの村JAPAN理事。 2000年にデザイン活動triviaを開始。 以降、まちづくりという切り口から様々なプロジェクトに携わる。 近年は福岡市里親委託等推進委員なども務め、 里親普及や子ども支援等、子ども家庭福祉の課題を デザインという発想で解決していく実践・研究に取り組んでいる。 田北先生のパーソナルサイトはこちらから。
上映する映画は…
ショーン・ベイカー監督作品「 フロリダ・プロジェクト 」です!
©2017 FLORIDA PROJECT 2016 . LLC
定住する家を失った6歳の少女ムーニーと母親ヘイリーは、フロリダ・ディズニーワールドのすぐ側にあるモーテル「マジック・キャッスル」でその日暮らしの生活を送っている。周囲の大人たちは厳しい現実に苦しんでいたが、ムーニーは同じくモーテルで暮らす子どもたちとともに冒険に満ちた日々を過ごし、管理人ボビーはそんな子どもたちを厳しくも温かく見守っていた。そんなムーニーの日常が、ある出来事をきっかけに大きく変わりはじめる……。
ついつい、長くなってしまいましたので、今回は一旦ここまで。
次回コラムでは、講義を行っていただく田北先生と、上映作品「 フロリダ・プロジェクト 」について詳しくご紹介していきます。お楽しみに!