2章 2-3 パリの映画博物館

2-1 パリの映画博物館

今週もすてきな映画に出逢いましたか?
こんにちは、うめちゃん先生です。


わたしは映画館が大好きすぎて、大学院生のときにパリで映画館の研究をしていました。


今回のコラムは、映画の歴史の基礎知識である「2章 映画のはじまり」から、パリの映画博物館の紹介をします。


2章で紹介したあらゆる発明品が展示紹介され、さらには後の映画史を彩ったジョルジュ・メリエスやチャップリンに関する展示まで盛り沢山な博物館です。
パリに行く機会があれば、ぜひチェックしてみてくださいね!

目次

1章 都市に暗闇は必要である
   1-1.映画館と出逢う
   1-2.映画館研究をはじめる
2章 映画のはじまり
   2-1.映画がうまれる前
   2-2.エジソンとリュミエール
   2-3.パリの映画博物館
3章 映画館の移り変わり―パリ市街での変遷をおって
4章 映画の国、フランス!
5章 パリの映画館MAP
6章 映画館の未来を考える

シネマテーク・フランセーズ

パリ南東に位置する12区。セーヌ川右岸にあるベルシー公園の緑に包まれて、不思議な形をした建物、シネマテークフランセーズはあります。建物は1994年に有名な建築家であるフランク・O・ゲーリーがアメリカンセンターとして設計したものです。2005年に、エッフェル塔近くのシャイヨ宮の中にあったシネマテーク・フランセーズがここに引っ越しし、以後公園の中にある文化施設として、市民に親しまれています。

不思議と公園に溶け込んでいるフランク・O・ゲーリーによる建物


 シネマテーク・フランセーズは、映画遺産の保存、修復、配給を目的とした施設であり、4万本以上のフィルムと映画に関する資料を所有しています。
館内には、膨大なコレクションを上映する上映室や、映画に関する様々な書籍を集めた映画図書館(BiFi)、そして映画博物館があります。


 シネマテーク・フランセーズの発祥には、アンリ・ラングロワという人物が深く関わってくるのですが、彼については4章で詳しくお話するので、今日は博物館の中にある展示物について、わたしの印象に残っているものをいくつか紹介していきたいと思います。

それでは、さっそく博物館へ!

 博物館は、12時~19時開館、一般料金5ユーロで(オーディオガイド付き!)楽しめます!日本円で600円ほど。めちゃくちゃお得です。
 毎週火曜日とクリスマスとお正月は、お休みなので、行かれる際は注意してください。ちなみに毎月第一日曜日は入場料無料です!(パリのほとんどの美術館・博物館が無料になるのです!)。


 展示は映画の歴史からはじまります。2章 2-1で紹介したような装置がたくさん並んでいますので、実際に体験してみましょう。当時の作品も鑑賞できますよ。
 ぐるーっとくまなく一周すると、わたしは2時間ちょっとかかりました。じっくり観たい人は時間に余裕を持って訪れてくださいね。


この展示がグッとくる!
 - SFXの父、ジョルジュ・メリエス!

 映画前史の発明品を通り過ぎると、ガラス張りのスタジオ模型が現れます。映画黎明期に爆発的な人気を博した映画監督ジョルジュ・メリエスのコーナーです。

 彼のスケッチや衣装をはじめ、彼の作品につかわれた小道具など思わずグッと来る品々が展示されています。頭上には、彼の代表作である「月世界旅行」や、手作業で彩色したカラーフィルム映像も公開されています。


 撮影のために彼が建てたガラス張り(当時は太陽光が貴重な照明だったのです)のスタジオ模型を観て、作品を撮影している当時の様子に思いを馳せることができます。


 マジシャンだったジョルジュ・メリエスは、大規模なセットをつかった撮影や、フィルムを途中でつなぐ合成技術など、その後の映画表現の豊かさの根底となるような技法をたくさん生み出しました。まさにSFX界の神様です。

メリエスについて深堀するなら、こちらの映画を
「月世界旅行」&「メリエスの素晴らしき映画魔術」
・ヒューゴの不思議な発明


この展示がグッとくる!
 -メトロポリスのアンドロイドロボット

 1927年に公開された伝説的なSF映画、フラッツ・ラングによる『メトロポリス』。オーストリア人のラングがはじめて、高層ビルが建ち並ぶニューヨークを訪れた際の衝撃をもとに制作した、100年後のディストピア化した未来都市を描いている圧倒的な傑作です。

 4万人近いエキストラを導入したり、様々な特撮技術を生み出したり、かけた予算もさることながら、生み出された映像美はまさしく「かっこいい」のひとこと。後の映画監督に与えた影響も多大なる作品です。


 シネマテーク・フランセーズでは、そんな『メトロポリス』の中で重要な役目を果たすアンドロイドロボットが『メトロポリス』の映像と共に展示されています。めちゃくちゃにかっこいいです。


この展示がグッとくる!
 -喜劇王、チャールズ・チャップリン!

 山高帽をかぶったチョビ髭の男性。ステッキを持ち、窮屈な上着にを来て、だぶだぶのズボンを履き、大きすぎる靴でアヒルのようにガニ股に歩く。世界の喜劇王、チャップリン。
 The Little Tramp(小さな放浪者)とよばれるこの役柄でチャップリンは、喜劇の裏にある悲劇をも描き、コメディアンとして、監督として、はたまた作曲家として映画界に大きな影響を与えました。

 イギリス生まれのチャップリンですが、シネマテーク・フランセーズにも彼のコーナーがあり、モダンタイムスなどの映像と一緒に、彼にまつまる品々が公開されています。
 チャップリンは、1971年にパリ名誉市民、1977年と1987年にセザール賞オマージュ(フランスでいうアカデミー賞)を受賞しているなど、フランスでも高い評価を受けています。


 チャップリンについては、彼が晩年を過ごしたスイスのレマン湖畔(パリから電車で5時間ほど)に2016年にチャップリン博物館「Chaplin’s World」がオープンしました。ヨーロッパに行ったついでに足を伸ばしてみるのも、無理じゃない距離かな、と思います。


ああ、やっぱり魅力的なシネマテーク・フランセーズ。

 この他にも、映画で使われた豪華な衣装や装飾品、小道具、公開当時のポスターなど、数々の展示物がある映画博物館。収蔵されている資料は、常設展だけでなく、都度おこなわれる企画展でも公開されています。


 併設されている上映室では、今ではなかなか観ることができない貴重なフィルムなど、様々な作品が大きなスクリーンで1作品7ユーロで毎日公開されていますし、映画図書館BiFiには、書籍はもちろん、映像資料や研究資料など数々が揃っています。


 ちなみにレストランもあるので、1日中過ごすことも可能です。


 なんと月々11.9ユーロ(1500円くらい)で、その全部が通い放題になるという年間パスも存在します!ああ、パリに住めたらいいのに。


 そんなシネマテークフランセーズ、見所盛り沢山なので、パリを訪れる機会がありましたら、ぜひ訪れてみてください。

次回予告

 シネマトグラフの発明により、映写式の上映装置が続々と開発され、各地に「映画館」が誕生することになりました。
 3章では、その過去から現在にいたるまでのパリでの「映画館」の移り変わりについて、映画上映技法の進化や興業形態の変化に着目しながらご紹介していきます。まずは、サイレント映画館からトーキー映画館についての移り変わりを次回のコラムにて。

大学院生時代にパリに留学。 パリにある映画館を全館(2013年当時84館)まわり、研究論文を提出。 福岡映画部第一回イベントにて、トークゲストを務めた後、映画部に所属。 よく観るジャンルは、ヨーロッパの日常を描いたもの。
投稿を作成しました 5

関連する投稿

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る